犬と包帯とコウモリと青い鳥(1)

『犬、飯まだかぁ~』

『もう少しで出来るッス。座って待っててくださいッス』

ここは天空の城ユーリ城である。

城の主は我儘な吸血鬼ユーリ。

この城にはユーリ以外にもシェフのアッシュやパンプキンKINGのスマイルが

暮らしている。

ユーリは自由気ままで気まぐれな吸血鬼なのである。

『できたッス!アッシュ特製スペシャルお好み焼きッス』

『うぉー!!うまそぉー!!』

ユーリはできたてのお好み焼きに食いついた。

『ゆぅりぃ~!!』

『うぉッ!?』

パンプキンKINGであらせられるスマイル様が

自称最強の吸血鬼ユーリに抱きついた。

『すまいるッ!!お前の頭のカボチャどけろ!痛い(怒)』

『あっ。ごめんねぇ~』

誠意がみられぬスマイルの謝罪にユーリの怒りMAX!!

『すぅまぁいぃるぅ~~~(怒)!!』

『スマッ!ヤバイッス!!』

『逃げろぉ~~!!』

『まてぇ~~~!!』

なんかいつもアホな喧嘩ばかりしているのである。

『ユーリさん・・・・・。おはようございます・・・・・』

『うわぁ!?』

『そ、そんな驚かなくても・・・・(泣)』

『あー!!ゆぅりがかごちんなかしてるぅ~。いけないんだぁ』

『うっさいわ!!アホッ!!』

ボコッ!!

『うわぁ!?大丈夫ッスか?ユーリ!!スマに何するんスか!!(怒)』

『ほう・・・。犬の分際で私に口答えするのか?』

『いや・・・・。えぇ・・と・・・その・・・』

『犬ッ!!』

『はいぃっ!?』

『そのくそパンプキンを捨てておけ』

『えっ!?』

『あっ・・・・はい・・・』

ユーリにはさすがにアッシュでも敵わないのである。

『みなさん・・・・。私の存在もう忘れちゃったんですか?』

『や。忘れてねぇよ。で?かごめは何の用?』

『あの・・・・。用ってほどでもないんですが・・・・。

ポストに手紙が入っていて・・・・・。届けにきたんです』

『どれどれ・・・・?』

拝啓 ユーリ様

いきなりですが、私貴方の事が好きです★

歌う姿がとてもカッコいいので

好きになりました。

もしよければ付き合ってくださいッ!!

『・・・・・・。えええぇぇぇぇ――――!!!

『ゆぅりぃ~。どったの?』

『こ、これ・・・・・』

『?』

『・・・・・』

ええええぇえええ――――ッ!!

『あの、我儘で気まぐれで俺がいないと何にもできない

あのユーリが!!ラブレターもらったって・・・・』

『えぇーー!!いいなぁ~』

『フッ!分かる人には分かるのさ。

俺のカッコよさが!!』

『俺には一通も来てないっス・・・・・(泣)』

『ボクは毎日200通ぐらいきてるよぉ~』

『ず、ずるいッス!なんで俺だけ・・・・・』

『まぁ、泣くな犬!だが、今大きな問題が発覚した!』

『問題ぃ~?』

『そうだ。この手紙には差出人が書かれていない!』

『な、なんと』

『犬ッ!パンプキンッ!』

『ハイッッ!!』

『今すぐこの手紙の差出人を見つけろ!!』

『イエッサー。隊長ッ!!』

『うむ。期待しているよ諸君』

『それでは行って参ります★』

それからユーリへのラブレターの差出人を探す冒険が始まったのである。

『ジズさん。ユーリへのラブレターの差出人知らないッスか?』

『知りませんねぇ~。シャル、貴女は知ってますか?』

『ゴメンなさい。差出人は分からないんですけど・・・。

「歌う姿がカッコいい」って書いてあるなら

いつも、ユーリ城を見ている人だと思います。

それならユーリ城の近くに最近できた

 店があるんですけど、そこに確かムラサキさんが

いたかと・・・』

『分かりましたッス。ありがとうございますッス☆』

『いえいえ・・・・。見つかるといいですね』

『はいッス』

― その頃スマイルは ―

『ごっくん!お団子おいしいねぇ~』

『そぉだねぇ~』

スマイルはまったく捜索していなかったのである。